2017.09.11
ジャガー・ランドローバー、2020年までに全ラインアップに電動モデル設定
ジャガー・ランドローバーは、モビリティの将来をテーマに展示やパネルディスカッション等を盛り込んだイベント「Tech Fest 2017」を英国ロンドンで初開催し、2020年までにジャガー・ランドローバーが展開するすべての車種に電動モデルをラインアップすることを発表しました。
ジャガー・ランドローバーの最高経営責任者(CEO)、ラルフ・スペッツ博士は次のように述べています。「2020年より、ジャガー・ランドローバーのすべての車種に、EV(電気自動車)、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)、およびMHEV(マイルド・ハイブリッド車)といった電動モデルを取り揃え、お客様に対して幅広い選択肢を提供していきます。まずは、当社にとっては初となる電気自動車、エレクトリック・パフォーマンスSUV『I-PACE』を、来年に発売する予定です。」
「Tech Fest 2017」の主なコンテンツは以下の通りです。
電気自動車に生まれ変わったクラシックカー「E-TYPE ZERO」
世界で最も有名な車のひとつである往年のジャガー・モデル「E-TYPE」を、将来もずっと使い続けられる車として生まれ変わらせた電気自動車「E-TYPE ZERO」を発表しました。イタリアの自動車メーカーであるフェラーリの創始者、エンツォ・フェラーリ氏からも「世界で最も美しい車」と称賛され、息をのむような美しいデザインのスポーツカー「E-TYPE」が初めて電動駆動となります。「E-TYPE ZERO」は1968年式「E-TYPE Series 1.5 Roadster」をベースにレストアし、0-100km/h(62mph)加速がわずか5.5秒という最新鋭の電動パワートレインを搭載しています。「E-TYPE ZERO」は、ジャガーおよびランドローバーのクラシックカーのオーナーや愛好家向けに、幅広いプロダクトやサービスを提供する施設として英国コベントリーにオープンしたクラシック・ワークスで、ジャガー・クラシック部門が手掛けました。
ジャガー初の電気自動車「I-PACE コンセプト」
まったくの白紙状態から開発したフルEV「I-PACE コンセプト」を展示します。実用性と息をのむような美しさ、そして優れたドライビング・パフォーマンスを兼ね備えたエレクトリック・パフォーマンスSUV「I-PACE」は、来年の発売を予定しています。
バーチャル・コンセプト・モデル「FUTURE-TYPE」と未来のステアリングホイール「Sayer」
2040年以降の未来のモビリティを示唆するバーチャル・コンセプト・モデル「FUTURE-TYPE」を発表しました。完全自動運転が可能な「FUTURE-TYPE」は、コネクティビティのある世界でのモビリティの在り方を模索しており、車を所有するのではなく、自ら走行する車を共有するという未来の形を提示しています。
「FUTURE-TYPE」のインターフェイスを介して、仕事、家庭、またはレジャーなどの用途に応じて、多岐にわたるデジタル領域にアクセスでき、欲しい情報を呼び出して、不要な情報を遮断することが可能です。
その中核となるのが、ライフスタイルそのものを変えてしまうほどの革新的なインテリジェント・ステアリングホイール「Sayer」です。「E-TYPE」を手掛けた伝説のデザイナーであるマルコム・セイヤー(Malcolm Sayer)にちなんで名付けられたこのステアリングホイールは、車に固定されるのではなく、持ち運びでき、日々の生活において様々な役割を果たす信頼できる仲間となります。
「Sayer」は音声で作動する人工知能(AI)を備えた世界初のステアリングホイールで、何百ものタスクを処理します。高度な音声認識ソフトウェアにより、ユーザーの質問に答えたり、最新情報やニュースを提供したり、旅の計画や、最適なエンターテイメントを選択したり、あらゆることを可能にします。
例えば、「Sayer」は冷蔵庫の中身を把握して、食材の購入やピザの注文などができ、牛乳を切らして買いに走るというようなこともなくなります。「Sayer」は車にとっての「鍵」となるだけでなく、当社のオンデマンド・サービス・クラブのメンバーカードとしての役割も担います。クラブのメンバーになると、自分が車の唯一のオーナーになるか、またはコミュニティの人々と共有するかを選択することが可能です。
お客様にとって、ドライビングとは単にA地点からB地点までの移動ではなく、AからZまでの人生を楽しむことを意味するとジャガー・ランドローバーでは考えています。自動運転機能を備えながらも、自分で運転することも選択可能で、従来通りの運転する楽しさやワクワク感をいつでも体感できるようにしています。それでも、このステアリングホイールがこれまでにないまったく新しいものであることは間違いありません。
Gorillazとのコラボレーションによる将来を見据えた採用活動
ジャガー・ランドローバーでは、新しい人材採用活動を行っています。イギリスの架空バンド「GORILLAZ(ゴリラズ)」と再びタッグを組み、グローバルで活躍できる人材の発掘に取り組んでいます。ジャガー・ランドローバーでエンジニアとしてのキャリアを築くことに興味がある方は、「Tech Fest 2017」会場内にある「GORILLAZ」ガレージで、技術的な能力、論理的な思考、記憶力を測るライブ・チャレンジに挑戦することができ、好成績を収めたプレイヤーは、ジャガー・ランドローバーの採用有力候補者になることができます。
また、「Tech Fest 2017」会場まで足を運べない方には、「GORILLAZ」アプリを展開中です。これは、ジャガー・ランドローバーの採用活動の一環で、新世代のソフトウェア技術者や才能あるエンジニアに求められる好奇心、粘り強さ、水平思考、および問題解決能力をテストする、コード解読パズルに挑戦できます。
「Waste to Wave」プロジェクトから生まれた100%再生ポリウレタン製サーフボード
環境に優しいモノづくりを目指すSkunkworks社との共同プロジェクトである「Waste to Wave」により、デザイン・スタジオから排出された廃材のみを使用した100%再生ポリウレタン製サーフボードの第一号が誕生しました。英国のトップ女性サーファーであるルーシー・キャンベル氏が、実際にこのサーフボードを使い、以下のようにコメントしています。
「海は私の人生の大部分を占めています。その海を守るために環境保護活動の必要性について意識を高める手助けができることは、私にとって重要なことです。私は車のデザイン・プロセスについてこれまであまり知りませんでしたが、ジャガー・ランドローバーがどのようにして、車に関わる素材に『第二の人生』を与えているかがわかり、大変興味深かったです。海に出て初めてこのサーフボードを使用した感触は素晴らしいものでした。」
ジャガー・ランドローバーは、埋め立てごみゼロを達成することに取り組んでいます。「Waste to Wave」プロジェクトは、かつては埋め立てごみとなっていた廃材を新たに活用するために行っている数々の革新的なリサイクル活動のひとつです。サーフボードを製品化する計画も現在進行中です。
公道での自動運転試験(「RANGE ROVER SPORT」)プログラム
ジャガー・ランドローバーでは、すでに公道での無人自動運転車両による走行テストを実施しています。「Autonomous Urban Drive」は、ドライバーなしで、信号に従いながら、T字路や環状交差点を認識して市街走行することを目指したものです。
英国で設計・開発されたこの研究技術は、すでに「RANGE ROVER SPORT」に搭載され、実証段階に入っています。今後10年以内にジャガー・ランドローバーの将来のモデルでレベル4の自動運転を達成するという目標は着実に近づいています。
デジタル執事を搭載した「RANGE ROVER VELAR」
RANGE ROVERファミリーに新たに追加となった4番目のモデル、ミッドサイズ・ラグジュアリーSUV「RANGE ROVER VELAR」を展示します。この先進のデザインを採用した「RANGE ROVER VELAR」には、高性能なテクノロジーが組み込まれたクアッド・コア・プロセッサが頭脳となり、人々の生活や人生をよりよくします。
2つの高解像度10.2インチ・タッチスクリーンを備えた最新インフォテインメント・システム「Touch Pro Duo」は、いわばドライバーのための専任「デジタル執事」です。ドライバーは世界のどこからでも自分の車とつながることができます。スマートフォンを介して、遠隔操作でエンジンの始動、施錠・開錠、位置の特定、燃料残量の確認、車内の温度調節などができます。
さらに、ドライバーの日々の運転状況を学習し、ニーズを予測し、必要なものを必要な時にさりげなく提供します。
ジャガーの新型コンパクト・パフォーマンスSUV「E-PACE」
非常にスマートなコンパクト・パフォーマンスSUV「E-PACE」を展示しています。
“Beautiful(美しく)”、“Fun(楽しく)”、“Clever(賢く)”なるよう、そして一目でジャガーだと分かるよう、デザイン・設計されています。コネクティビティが充実していることはもちろん、モダンかつ実用的で運転したくなる車です。ジャガーならではの視覚的な美しさと、使ってみて感じる楽しさを提供します。
なお、「Tech Fest 2017」では、「E-PACE」に関する情報のほか、ワールドプレミアの際に、らせん状に270度回転しながら15.3mものロングジャンプをしギネス世界記録を樹立した、センセーショナルなパフォーマンス「barrel roll(バレルロール)」をバーチャル体験できます。
「DISCOVERY」のビスポーク・モデル「PROJECT HERO」
世界最大の人道支援ネットワークである国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)とジャガー・ランドローバーのパートナーシップのもと開発された、新型「DISCOVERY」をベースにしたビスポーク・モデル「PROJECT HERO」が、「Tech Fest 2017」において英国初披露となりました。
「PROJECT HERO」は、ジャガー・ランドローバーのスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)がデザインと設計を手掛けており、ルーフにドローンを搭載した高度なコミュニケーション車両です。ドローンは車両が走行中でもルーフに着陸可能です。そのほかにも、もともと堅牢な新型「DISCOVERY」のパフォーマンスをさらに高める機能を多数搭載しています。
現在、オーストリア赤十字社緊急対応チームによって試験運用されており、災害時の対応時間を短縮することで、赤十字社の人命救助に役立つことが期待されています。
「Lighting Up Lives」プロジェクト
ジャガー・ランドローバーは、2020年までに120万の人々に光(照明)を届ける取り組みを行っています。この「Lighting Up Lives」プロジェクトは、ClimateCare社と連携しながら、クリーン・安全・再生可能なソーラー・ランプをケニアの家庭に届け、毎夜最大4時間分の明かりを提供しようという試みです。これらのランプにより、ケニアの子どもたちは日没後でも勉強ができ、家族との団らんを楽しむことができます。燃料費の節約につながると同時に、さらに重要なこととして、今でも多く使用されている灯油ランプによって生み出される有毒ガスにさらされる危険を取り除くことができるようになります。
ランプがあれば、村人たちは家で長く作業することができ、経済的な自立にも役立ちます。各家庭がいずれ自分たちでソーラー・ランプを購入できるようになれば、社会的にも経済的にも好循環を生み出すことになります。
「Tech Fest 2017」では、太陽の力で生活を変える「Lighting Up Lives」プロジェクトで使用しているソーラー・ランプを用いて数名のアーティストとコラボレーションした作品「Night Time Sun」を展示しています。