2015.01.27
ジャガー・ランドローバー、光や音、振動を活用して自転車およびオートバイの巻き込み事故を防ぐ新技術「バイク・センス」の研究開発を発表
■ジャガー・ランドローバーは、自転車やオートバイの巻き込み事故を防ぐことを目的に、車内のドライバーの肩を叩いたり、自転車のベルに似た音を鳴らしたりして、潜在的な危険を警告する技術「バイク・センス(Bike Sense)」の研究開発を発表
■英国では、サイクリスト(自転車乗用者)の交通事故による死傷者数が毎年約19,000件に上っている状況を受け、ジャガー・ランドローバーの研究者たちは、事故防止のために、自動車のドライバーが本能的に反応できる最適な色や音を特定中
■車の乗員がドアを開ける側に、自転車やオートバイが接近している場合、ドアハンドルが光や振動、音で警告
■車が動くことで事故につながる可能性がある場合、アクセルペダルを振動させ警告
■「バイク・センス」は、ジャガー・ランドローバーの英国アドバンスト・リサーチ・センターにて開発中のコンセプト・テクノロジー
2015年1月20日、英国ホイットリー発
ジャガー・ランドローバーは、自転車やオートバイの巻き込み事故を防ぐことを目的に、車のドライバーや乗員に色や音、振動を用いて潜在的な危険を警告する新技術「バイク・センス(Bike Sense)」の研究開発を発表しました。
「バイク・センス」は、複数の車載センサーが、周辺道路の状況や接近者を感知し、自転車またはオートバイを見分けます。自転車やオートバイを感知すると、ドライバーが気づくよりも先に、潜在的な危険を知らせます。
一般的な警告シンボルや音はドライバーの脳が処理するのに時間がかかるため、「バイク・センス」では、人が本能的に危険と関連付けられるような音や光を用います。
自転車やオートバイは車両に対してどの辺りに存在するのか、ドライバーがその位置関係を瞬時に把握できるように、「バイク・センス」の音声システムでは、自転車のベルやオートバイのクラクションの音が、接近してくる方向に最も近い箇所にある車載スピーカーから発せられます。
自転車やオートバイが車の後方から接近してきた場合、車を追い越そうとしているのか、あるいは、歩道側を通り抜けようとしているのかを識別します。そして、運転席のシートの上の部分が作動し、ドライバーの右または左の肩を軽く“叩き”ます。そうすることでドライバーは無意識のうちに、叩かれた肩ごし後方に視線を向け、潜在的な危険に気づくことが可能となります。
また、自転車やオートバイが車に接近してくると、フロントガラスの下枠、ダッシュボード、そしてAピラーに取り付けられたLEDライトがマトリックス状(列)になって、始めは黄色に光り、さらに接近してくると赤色に変わります。こうした赤色や黄色の光が、車内のサーフェスを移動することにより、自転車やオートバイがどちら側を走行しているのかがより明確にわかるようになります。
ジャガー・ランドローバーのリサーチ&テクノロジー担当ディレクター、ウルフガング・エップル博士は次のように述べています。「人類は何千年もかけて、本能的に危険を察知する能力を身に着けてきました。例えば、赤色や黄色といった特定の色には瞬時に反応しますし、自転車のベルは誰もが認識できる音です。
『バイク・センス』は、ドアミラーに設置されているハザードランプやアイコンを用いた今日の技術の先をいく技術で、光の位置や、音、そして振動を最大限活用し、人の直感に強く訴えます。こうした警告の仕方は、脳の本能的な反応に訴えかけるため、より素早く認知し対処することが可能になります。もしダッシュボードが赤く光っているのをドライバーが周辺視野でとらえると、ドライバーはそこに意識がいき、周囲にいる道路利用者が赤く光った側から接近してきているとすぐに把握することができるのです。」
自転車、オートバイ、または歩行者の集団が、市街地の混雑した道路上で、車の周囲を移動している場合は、「バイク・センス」の高度なシステムが、最も近くにある危険を優先的に知らせてくれるため、ドライバーは光や音に圧倒されたり、気を取られたりすることはありません。
また、ドライバーが視認できない危険も特定します。歩行者または自転車が道路を横断中で、例えば駐停車中の車の影になり確認できない場合は、車載センサーが検知し、その方向を光と音で知らせ、ドライバーに注意を促します。
ドライバーが警告を無視してアクセルを踏んだ場合、アクセルペダルを振動させたり、あるいは、踏込みが固く感じるように設定し、危険を引き起こす要因を回避するまで車を前進させるべきではないことをドライバーが直感的に認識できるようにします。
さらに、車を駐停車し乗員が外に出る際、自転車やオートバイが走行している側の車のドアが開けられることがないようにサポートします。全乗員に対して、接近中の自転車やオートバイ、あるいは他の車両の存在を、車内の音や光で警告します。仮に、乗員が警告を無視してそのままドアを開けようとした場合は、ドアハンドルが光って振動し、そしてブザーを鳴らして、危険の存在を知らせます。
エップル博士は次のように付け加えています。「『バイク・センス』は、本能に訴えかけることで車に搭載している安全システムや危険検知システムと、ドライバーや乗員との間に存在するギャップを埋めることができる可能性を持っているのです。
そして、ドライバーにとって反応速度が上がり、適切な行動をとれるようになることが、事故の発生を防止し、道路利用者全員のリスク軽減につながります。」